豪華パッケージに特製マップとフィギュアが付属!
パソコン黎明期からソフトウエアを制作・発売してきた工画堂スタジオが、86年にPCで発売した本格派RPG『覇邪の封印』。高い人気から87年にファミコンへ移植されたのが本作です。
西洋と東洋が織り成す独特な世界観、ソフトウエアに付属する特製マップと金属フィギュアを使い、ゲーム中の位置情報を把握しながら進行させるなど、手触りからして「!?」と身構えたくなる異色作。良いですね、こういう独特な手触りは。
ファミコン版の本作は比較的パソコン版に忠実な移植が成されています。とは言え、遊び易さの観点から仕様変更された部分も有り、難易度も下がっている様子。ゲーム中のBGMが追加されたのも大きな魅力。
何せパソコン版は、あるアイテムを手にするまで、自分の回り1歩先さえ見えない鬼仕様…だからマップとフィギュアが必須になる訳で。BGMさえ無い静寂な中で、1歩移動する毎にマップのフィギュアを動かしつつ居場所を把握する…硬派過ぎる!
見た目も内容も尖ってます
「他とは違う!」と言わんばかりに独特なゲーム画面。こういう画面デザイン、個人的には好きです。世界を巡り3人の仲間を見つけ、成長と探索を繰り広げる…まさにRPGの王道。
80年代のパソコン用RPGらしく、ゲームの大半は探索と戦い&成長というロジカルな楽しさに終始します。探して探して闘って闘って…最後までこんな調子です。でも、それが面白い。
お金、キバ、武具の耐久性、鍛冶屋と呪い師、そして知名度。これらパラメーターに一喜一憂し思いを馳せる。後半戦まで続く金欠状態、うっかり立ち入った森や山で強敵に惨殺され、重要なヒントも口数少なく淡泊で。
ひたすら根気と知恵で人知れぬ道、道なき道を行く…堪え難きを耐え忍び難きを忍ぶ「真の冒険」を求めるなら、覇邪の封印は楽しめますよ。
探索と戦闘がRPGの醍醐味でしょ!?
序盤はひたすら敵と戦いレベルアップ&お金稼ぎ。稼いだ金も体力回復と武具の修理で消えていく自転車操業状態…相応に金をくれる敵が商人か悪徳商人くらいなので、悪徳商人と出会ったら悪即斬!
多少所持金に余裕が出てきたら、鍛冶屋を雇い武具修理の出費を抑えて。武具の修理から開放されたら本格的に世界を巡り、キバを集め伝説の武具を揃えつつ仲間を探索。洞窟、海の世界など方々を駆けて、いざ最後の迷宮へ。
セーブはターボファイル推奨
一般のRPGに比べ敷居の高い本作ですが、内容以外に気になった点も幾つか有りまして。本作のセーブは、別売りの周辺機器「ターボファイル」を持っていればバッテリーバックアップ、無ければ最大120文字のパスワードセーブとなり、再開時の入力が実に億劫。
ゲーム中のインターフェースデザインが煩雑ゆえ無駄な買物が発生したり、メニュー画面の切り換えがワンテンポ遅いのも地味にストレスを感じます。また、戦闘時に武具の耐久性が表示されず、伝説の盾が幾度となく消失したり。
ナビゲーション役の妖精は見た目と裏腹に口が悪いとか、まぁそれなりに有ります。
もう一度プレイしたい気持ち
ユーザーフレンドリーの概念も希薄な時代に生まれた本作。難点は相応に有るものの、昨今では味わえない往年のRPGらしい面白さを体験出来ました。
物語の筋書きを上からなぞるのではなく、覇邪の封印を巡って戦いと探索、謎解きを経て突き進む、プレイヤー自身の冒険譚。
「RPGの面白さとは?」の問いに見事答えた本作、覇邪の封印。昨今では体験出来ない往年のRPG、これは2度目のリプレイも有り!?