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GG ファンタシースター外伝

PHANTASY STARのロゴに期待が膨らむタイトル画面。

あのファンタシースターがゲームギアで!?

 ファンタシースターと言えばセガ製RPGの代表シリーズ。ファンタシースター外伝は、92年秋にゲームギアで発売されました。RPGが乏しかったゲームギアで本作が発表された時は「あのファンタシースターがゲームギアで遊べる!」と大いに期待したのを今でも覚えています。しかし、本作は筆者が思っていた物とは違う印象から結局スルー。未プレイのまま今日に至ると同時に、気になる作品でもありました。本作に対する興味と意欲…「鉄は熱いうちに打て」と言う事で、早々に入手し始めてみました。

ファンタシースター外伝、街の中。セーブは教会で、ファイルは3つ。

私事ですが、レトロゲームは価格や入手難度から箱説明書が無いソフト単体で購入する事も少なくありません。ただし、RPGに限っては箱説明書完備での入手を原則としており、本作も箱説明書完備で購入するつもりでした。しかし色々と折り合いが付かずソフト単体での購入に。アイテムや魔法の情報をネットで調べつつプレイ…ネット様々です。

ショップでの買物。ビジュアルの雰囲気が良い。

ファンタシースター「外伝」ですから

 本作は見下ろし2D画面にコマンドバトルとオーソドックスなRPG。ファンタジーベースのSF的要素、初代主人公アリサの件、魔法やアイテムなどから初代ファンタシースターと重なるところが醍醐味。物語としては終盤から結末で相応の展開が有り、その辺は楽しめたかなと。ゲーム進行の折りで見られる一枚絵のビジュアルは雰囲気ある演出で好印象。外伝と考えれば、まぁ納得…出来なくもない感じでしょうか。

地上マップ。世界はさほど広くない。

本当にファンタシースターなの?

 ここからは少々辛口。やはりというか、当時思った通り、本作はファンタシースターの名を掲げるものの、シリーズの作風や関連性、ならではの美味みが非常に薄い。筆者が勝手に勘ぐると、本作は元々ファンタシースターと無関係で、セールス的な観点からファンタシースターの名を掲げ、故に後付けでファンタシースターとの繋がりを設けた印象。最初からファンタシースターの関連作として作られていたのか、実に疑問。

ステータス画面。装備品と攻撃&防御値等のパラメータは切り換え表示。

盛っても控えても中の下、B級作

 ファンタシースターらしさはともかく、ゲームとしての出来は「中の下」くらい。楽しめなくはないですが、作りの粗さが目立ちます。戦闘時の敵キャラ数は最大2体までと寂しい限り、戦闘バランスはキツイか楽々退屈の二極化しやすく、戦術的思案にも至らず攻撃連打ゴリ押し展開に。装備、魔法も全員共通、各キャラの性能差、個性が乏しい点が面白みに欠け、戦闘の絡みから魔法の有用性も希薄。HP/MPの確認に毎度ステータス画面を呼び出す手間が煩わしい。しっかりとシステム部分で魅力を膨らませ、遊び易い作りにして欲しかったなと。

戦闘画面。敵の背景とグラフ表示は良いけど、改善&工夫の余地は大いに有り。

ボリュームは小さくも戦闘は大サービス!

 作りの粗さと同時に気になったのがボリューム感の乏しさです。筆者は本作をゲームギア実機にて充電池を用いプレイしましたが、クリアまでに1回の充電で済みました。プレイ時間は恐らく10時間前後。舞台の大きさ、物語の要点等々、全体的に控えめのミニマムサイズ。外伝とは言え、もう少し遊びたかったなと思うのが本音です。

とあるイベントで入手する事になるマップ。現在地も解り結構便利。

 結構な数のRPGをプレイしてきた筆者ですが、本作の戦闘はガッツリと印象に残りました。ある意味、本作最大の特徴とさえ言える戦闘は、歩くと2〜3歩で敵出現が当たり前の猛烈な高エンカウント率!この凄過ぎる敵出現率は、間違いなく筆者のRPG歴でトップクラスです。高エンカウントでの連戦からキャラのレベルアップが早いのは思わぬ副産物。レベルが上がると逃走成功率が上がるのは救いですね。

物語の要所で入るビジュアル。そこそこの枚数が有ります。

またも邪推ですが、本作の尋常じゃない高エンカウントはボリューム不足対策、戦闘でプレイ時間の水増しを狙ったのか?セガのB級ゲームで見受けられる「やっつけ対応」感がプンプンと…それもセガらしくて。そーいうセガっぽさ、嫌いじゃありません。

終盤で仲間になるアリサ。知ってるアリサとは随分違うんだけど…。

ゲームギアで5番目のRPG

 多々苦言を呈しましたが、クソゲーではないです。ファンタシースターシリーズを意識せず、別物として捉える気持ちが大切!掴み所が微妙なB級RPGとして楽しめます…凄まじいエンカウントを許容出来れば。ゲームギアでRPGを楽しむなら、本作の優先順位は5番目くらい。オススメはしませんが、本作に強く興味を持ったなら遊んでみるのも悪くない選択です。

サクサクと進んでエンディング。直前でセーブ可能なので何度でも観られる。
  • メーカー:セガ(開発:日本システムサプライ)
  • 発売日:1992年10月16日
  • メディア:カートリッジ(2Mbit+バッテリーバックアップ)

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