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FC 闘人魔境伝 ヘラクレスの栄光

闘人魔境伝 ヘラクレスの栄光 タイトル画面。

ギリシャ神話の本格派RPG

 ロマン溢れる古代ギリシャ。勇者ヘラクレスとなって冒険の旅へ…ファミコンRPG黎明期の本格派RPG、ヘラクレスの栄光。当時プレイしてクリア済みの本作を、ウン十年ぶりの令和にプレイしクリアしました。レトロゲームを巡っては「古いゲームを今プレイしても楽しくない」「過去の楽しい記憶は思い出補正」等々囁かれるも、以前と変わらぬ楽しさに魅力を再認識。今と昔で違うのは、コマンド表示のレスポンスに遅さを感じる点が唯一。パスワードセーブも、スマホのカメラでお手軽に。

冒険の始まり、アテネの町。かなりの広さ。

溢れるオリジナリティはヘラクレス流

 当時から隙あらばドラクエと比較されがちな本作ですが、むしろ相当にドラクエを意識したのか、方々に創意と工夫をこらし差別化、オリジナリティを発揮しています。フィールド上で街をシームレスに構成、武具の耐久性や敵種によって武器を変更し戦う戦略性も本作ならでは。ボス戦での会話&簡易アニメーション、グラフィックやサウンドも本作らしい持ち味に。戦闘時「ゆくぞ!」「しぶとい奴め!」の掛け声はシリーズ定番、「ミス!残念!」「ヘラクレスはまだ眠っている」…「残念」やら「まだ」やら、なんか一言多い感も絶品のヘラクレス流。

戦闘画面。鍛冶屋を雇うまでは武具の耐久性に悩む。

ドラクエを横目に見てしまうのは…

 実際にプレイすればオリジナリティ、魅力はしっかりと感じられる本作。と書いておきながら、筆者自身も長年「何か」が引っかかりドラクエの影が燻る印象を拭いきれず。その「何か」とは?本作発表当初に公開された開発中の画面写真、特に戦闘画面がドラクエ1のそれとソックリで。この戦闘画面が印象強く、ドラクエと重ねて見えるのかなと。製品版ではお馴染のヘラクレスな戦闘画面になりましたが、個人的に開発時の戦闘画面も好きなんですが。

ヘラクレスの栄光 開発中の画面。
左は通常、右が戦闘シーン。戦闘は確かにドラクエっぽい!?

中盤が最大の山場

 久しぶりのプレイは懐かしくも新鮮で、当時の記憶も手伝い比較的スムーズに進行し、クリアしました。ただ、当時の記憶以上に厳しく感じたのが、船を入手し海上へ繰り出す中盤戦。海上は敵の強さが一気に上昇し、海の敵とまともに戦う場合は矛が必須。しかし矛を装備すると盾が使えず守備力が大きく下がり、敵から受けるダメージが半端じゃなくキツイキツイ。

店では店員さんが表示。飲み屋とはいえ「ヘラちゃん」って…DECOらしいノリ。

本作の場合、HPの回復手段が限定的かつ、中盤は装備強化のタイミングが開き気味な事も、厳しさに追い討ちをかけてきます。海を越え到達する島や大陸も強敵がワンサカ。とにかく中盤の戦闘は死と隣り合わせでヒヤヒヤものです。戦いを避ければ成長出来ず、ゲームの進行、装備の強化には強敵がうろつく海、新大陸を渡る必要が有り、ジレンマの中でかなりの苦戦を強いられました。

地上を駆け海を渡り、そして天界へ。

今も昔も変わらず面白い!

 苦難な中盤とは打って変わり、装備が整い成長を遂げる終盤の戦いは、眠くなるほどの楽勝っぷり。当時も感じましたが、序盤のダンジョンに、その段階ではあり得ない強敵がシレッと出てきてみたりと、かなりトリッキーな戦闘バランスの本作。当時に次いで2度目のクリアとなる今回ですが、思うところは有れど実に楽しかった。少々粗く尖った作風…頑張るB級RPGの魅力は、今だからこそ一層輝き、楽しめるのかもしれません。

ついに魔王ハデスと最終決戦!
  • メーカー:データイースト
  • 発売日:1987年6月12日
  • メディア:カートリッジ(1Mbit)

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