幻のdccデッキ RS-DC8
カセットテープが好きで令和の今でも愛用しておりますが、マイナーフォーマットにも惹かれる性分。カセットテープ好き+マイナーフォーマットとくればdcc「デジタルコンパクトカセット」。かつて幻のメディアdccに興味を持ち、使用していたdccデッキがテクニクスRS-DC8です。
次世代のカセットテープvs録音出来るディスク
フィリップスとパナソニックが共同開発したdccは、アナログカセットの再生互換を維持しつつ、dccテープにCD相当の高音質デジタル録音が可能にした「次世代のカセットテープ」として登場。同時期にソニーから「録音出来るディスク」のMDも登場し、カセットテープの後継メディアを巡り規格争いを繰り広げていました。
知的で高音質だけどデリケートなdcc
曲タイトルやスタート、エンドマーカー等、様々な情報を打ち込む事で、巧みに扱える様になったdcc。しかしランダムアクセスに劣るテープメディアでは全般的に煩雑で、アナログカセット同様にA面B面を跨ぐ昔ながらの使い勝手。dccは基幹技術のPASCが優秀で高音質な反面、結構な頻度でドロップアウトが発生するのはテープが原因かデッキの不良か?とにかくデリケートで信頼性の低さが気になりました。デジタル録音がdccテープのみというのも厳しいところ。
ディスクを知ればテープはあり得ない
MDよりも優れたデジタルサウンド、アナログカセットを高音質再生出来る点がメリットのdcc。同時にテープの使い勝手を引きずる、良くも悪くも色々有るdccに対し、ディスクメディアのMDは巻き戻し、早送りの煩わしさが無く、選曲も一発でOK。この使い勝手の良さ、魅力は圧倒的で、MDの快適性を知ればテープメディアの選択はあり得ないレベル。次世代を体感させたMDにdccは太刀打ち出来ず、早々と市場から姿を消す事になりました。
希少なdcc体験に感謝
アナログカセットが聴けて音質も(MDより)有利なdcc。それら魅力も、テープとディスクの違い、MDの優れた使い勝手の前には全く歯が立たず、dccを持つ自分とて「当然MDを選ぶよ」と率直に思いました。RS-DC8はオーディオ機器としては面白いと思うも、フォーマット込みでの実用性は乏しい印象…dccフォーマット同様、希少な体験をさせてもらったという事で。