カセットテープ 思い出

RS-DC8〜幻のdccデッキ

Technicsの第二世代型dccデッキ、RS-DC8。

幻のdccデッキ RS-DC8

 カセットテープが好きで令和の今でも愛用しておりますが、マイナーフォーマットにも惹かれる性分。カセットテープ好き+マイナーフォーマットとくればdcc「デジタルコンパクトカセット」。かつて幻のメディアdccに興味を持ち、使用していたdccデッキがテクニクスRS-DC8です。

Technicsブランドで、オーディオとしての気合いを感じます。

次世代のカセットテープvs録音出来るディスク

 フィリップスとパナソニックが共同開発したdccは、アナログカセットの再生互換を維持しつつ、dccテープにCD相当の高音質デジタル録音が可能にした「次世代のカセットテープ」として登場。同時期にソニーから「録音出来るディスク」のMDも登場し、カセットテープの後継メディアを巡り規格争いを繰り広げていました。

dccは文字情報も入力可能。

知的で高音質だけどデリケートなdcc

 曲タイトルやスタート、エンドマーカー等、様々な情報を打ち込む事で、巧みに扱える様になったdcc。しかしランダムアクセスに劣るテープメディアでは全般的に煩雑で、アナログカセット同様にA面B面を跨ぐ昔ながらの使い勝手。dccは基幹技術のPASCが優秀で高音質な反面、結構な頻度でドロップアウトが発生するのはテープが原因かデッキの不良か?とにかくデリケートで信頼性の低さが気になりました。デジタル録音がdccテープのみというのも厳しいところ。

パナソニック製dccテープ(表)。90分なので片面45分の録音が可能。

ディスクを知ればテープはあり得ない

 MDよりも優れたデジタルサウンド、アナログカセットを高音質再生出来る点がメリットのdcc。同時にテープの使い勝手を引きずる、良くも悪くも色々有るdccに対し、ディスクメディアのMDは巻き戻し、早送りの煩わしさが無く、選曲も一発でOK。この使い勝手の良さ、魅力は圧倒的で、MDの快適性を知ればテープメディアの選択はあり得ないレベル。次世代を体感させたMDにdccは太刀打ち出来ず、早々と市場から姿を消す事になりました。

パナソニック製dccテープ(裏)。B面の録音再生はオートリバース式。

希少なdcc体験に感謝

 アナログカセットが聴けて音質も(MDより)有利なdcc。それら魅力も、テープとディスクの違い、MDの優れた使い勝手の前には全く歯が立たず、dccを持つ自分とて「当然MDを選ぶよ」と率直に思いました。RS-DC8はオーディオ機器としては面白いと思うも、フォーマット込みでの実用性は乏しい印象…dccフォーマット同様、希少な体験をさせてもらったという事で。

dcc再生中。海外ではフィリップスからハイビット対応の第三世代機も出てる。

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