ゲーム

FC ドラえもん

お馴染のタイトル画面。

原作物に美味い物無し!?

 藤子不二雄原作の国民的人気漫画ドラえもん。もはや知らぬ者は居ない程に有名で愛されるドラえもんを、ファミコンでゲーム化したのが本作。当時から人気の漫画、アニメなどのゲーム化は多く見受けられるも、その反面、原作人気を頼りに不出来な物も目に付くなど、当たり外れが大きいジャンルでもありました。本作はドラえもんの魅力を存分にゲームへと昇華させた、嬉しい当たりの方。原作を知らなくても楽しめる良作に仕上がっています。

開拓編のアイテム紹介。アクセントのドラミちゃんが良い。

原作の落とし込みが絶妙なアクションシューティング

 ゲームの基本はドラえもんが主人公のアクションシューティングですが、劇場版の大長編ドラえもん「宇宙開拓史」「大魔境」「海底鬼岩城」の3作をモチーフに、それぞれ異なるゲーム性を持たせています。まさしく「一粒で三度美味しい」バラエティ豊かな内容が売り。原作を知らずともゲームとして楽しめますが、モチーフの3作を体験していれば楽しさは大幅にアップ!大山のぶ代のドラえもんで育ったドラファンとして、ぜひ劇場版を楽しんでからの本作プレイをヨロシクと。

探索しつつパワーアップに勤しむ、開拓編前半のトカイトカイ星。

開拓編…のび太の宇宙開拓史から

 最初のステージは宇宙開拓史から。トップビューの探索型アクションを繰り広げる開拓編。ゲームスタートのトカイトカイ星、敵の本拠地コーヤコーヤ星の広大な2ワールドを駆け巡り、アイテム収集やドラえもんのパワーアップ。最後に待ち構えるボスを倒し、のび太を助ける流れ。所々に「あっ、コレは!」的な要素が良いですね。

敵の攻撃が激しくシビアな戦いとなる、開拓編後半のコーヤコーヤ星。

ステージ1に相当しますが簡単ではありません。探索もアクションも、相応の手応え有りです。特に初期状態のドラえもんは体力、攻撃ともに弱く、空気砲や強力うちわ習得で武器強化、連射アイテム、元気キャンディでの体力増強が目的の基本軸に。ランダムワープのどこでもドア、隠し通路など探索要素もしっかりと。やられた場合は規定ポイントからの復活となり、強引な押し切りも利きにくく確実な攻略が必要です。後半のコーヤコーヤ星は敵の攻撃が一気に激化し、かなりの苦戦を強いられました。

のび太を救出して開拓編クリア、次はジャイアントスネ夫の魔境編へ。

魔境編…のび太の大魔境から

 開拓編をクリアーすると、先ほどまでのトップビューアクションから一転、サイドビューのシューティングにチェンジする魔境編。最初のボス「オロロン岩」までの前半、聴かせる名曲で有名な中盤、そして巨人像内部の後半と全3エリア構成。道中でスネ夫やジャイアンを見つけて攻撃を援助してくれたり、大魔境でお馴染のキャラクターが出たりと見所もバッチリ。攻撃は連射必須、盛大に弾をバラ撒く敵、各エリアは長めで分岐有り…シューティングとしてはハード寄り、挫折者が出る山場とも言えます。

連射と弾避けが熱すぎる魔境編。ジョイカードが欲しい!

最初から敵の攻撃が激しく、被弾上等での進行がシビア。前ステージで取ったスモールライトでの攻撃は、広範囲を撃て非常に強力!なのに、何度かダメージを受けるとショックガンに変化し大幅な戦力ダウン&よりシビアな戦局へ。スネ夫やジャイアンの援護射撃は嬉しくも、激戦の中では力不足感が否めず、数回のダメージで戦線離脱。ミスった場合のリスタートが各エリアの最初というのもキツイ。大混戦を制しつつエリア分岐でルートを推し進めていくのは、熱く楽しく難しく。特定の敵を倒すと?どら焼きが出て、体力回復したのは嬉しかった。繰り返しのプレイで上手くなれば、ちゃんとクリア出来る作りってのがまたニクイねぇ!

劇場版を知っていると印象深い魔境編のラストシーン。

海底編…のび太の海底鬼岩城から

 魔境編同様のサイドビューながら今度は画面切り換え式で、広い海の中を探索する海底編。進路を開く為の秘密道具を収集しつつ、のび太やスネ夫、ジャイアンを救助していく訳ですが、道具も仲間も、ドラえもんが同行可能な数はたった1つ。この制約を考えて、1つ1つ進行ロジックを解いていくパズル的要素が強い、本作のラストステージ。海底奥深くに聳える鬼岩城…閉ざされた門を開き、潜むポセイドンを倒せるか?エンディングまで後一歩。

原作でも大活躍だった、通り抜けフープと取り寄せバッグ。

前ステージの魔境編でシューティング的な難しさに唸り、海底編はアクションパズルだから多少は楽…でもなくて。パズル要素は頭の体操レベルで難しくはないものの、敵キャラがヤバイ。このステージでは敵からダメージを受けた場合の無敵時間が無く、敵に触れると連続でダメージを喰らい続け、回避出来ないと即死。敵は唐突かつ大量に現れる事から、ちょっと気を許せば即接触。最後の鬼岩城内は敵がワンサカ登場するお祭り状態、幾度となくやられてラスボスに到達するも、見た目以上に厄介なポセイドンの攻撃…手に汗握る戦いとはこの事でございます。

インパクト絶大の大ダコ。ちなみに原作だと大王イカです。

ファミコンのドラえもんは良いぞ!

 何度もミスって繰り返しのコンティニュー。かなりの手応えだった本作ですが、その実思いっきり楽しめました。腕の上達がゲーム攻略にしっかり繋がる達成感の大きさは、ゲームのロジックがしっかり作られている証拠でもあります。キャラクターやアイテム、楽曲等も原作の趣を上質に捉え好印象。コンティニューに面セレクト、その他裏技も有り、往年のファミコンゲームらしいオマケも嬉しい。皆が知ってるドラえもん、大山のぶ代世代なら尚更プレイしておきたい、そんな一作です。

攻撃と回避が鬩ぎ合うラスボスのポセイドン戦。感動のラストへ!
  • メーカー:ハドソン
  • 発売日:1986年12月13日
  • メディア:カートリッジ(1.25Mbit)
  • 雑誌評価:19.05/30.00(ファミマガ) 24/40(ファミ通)

-ゲーム