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PCE 邪聖剣ネクロマンサー

バックストーリーが語られるタイトル画面。

PCエンジン初のRPG

 高速CPU、強力な画像処理プロセッサを搭載し颯爽と登場したPCエンジン。そのハイパフォーマンスはアクションやシューティングで存分に発揮する事になるも、国民的人気ジャンルのRPGとて例外ではなく。PCエンジン発売から約3ヶ月後の88年1月に登場した、邪聖剣ネクロマンサー。本作はPCエンジン初のRPGとして、さらにその完成度の高さから今なおファンの心を掴んで離さない作品です。

とある街の中。人や木、石像などのオブジェクトがリアル。

「夜一人では遊ばないで下さい」
 ファミコンでRPGの面白さを覚え堪能していた筆者にとって、本作のリアルで美しいグラフィック、臨場感溢れるサウンドは衝撃的。ホラーRPGとの触れ込みも一際興味を惹きプレイ欲求は日々高まるばかり。クトゥルー神話をモチーフにしたダークで独特な雰囲気、グロテスクなモンスターから伝わる恐怖感も新鮮で。本作のTVCMで最後につぶやく「夜、一人では遊ばないで下さい」も印象深く。とにかく本作をプレイしたい一心でPCエンジンを購入しました。

ショップに入ると店員のビジュアル表示が良い感じ。これは魔法屋さん。

多様に楽しめる王道型RPG

 本作のゲームスタイルはお馴染の2Dトップビュー&コマンドバトル。プレイヤーキャラの名前入力から始まり、早々に特徴有る6人を紹介され、うち2人を連れて計3人パーティで冒険の旅へ。一度決めたパーティは変更不可、選んだキャラで戦術が変化し、難易度も大幅に上下します。パーティ編成で多様な楽しみ方が出来る点は本作の醍醐味。一度クリアしても他のパーティで冒険したく、繰り返しプレイするほどに面白くて。筆者のお奨めは攻撃魔法に長けたライムと、回復役カオスの組み合わせのバランス型。他にも武力特化の戦士系、武器も魔法もイケる魔法戦士も…最後まで共に戦う仲間ですから、慎重かつ大いに思案して下さい。

フィールド画面。山や海の表現の美しさに惚れ惚れ。

ピリッと辛口、確かな手応えネクロマンサーの世界

 ゲーム進行の謎解きは難しくはありませんが、洞窟内は視界が狭く、落とし穴や通り抜ける壁も存在し、一筋縄では行かない所も。敵の出現率は高く、その上トリッキー気味の戦闘が楽しくも結構な手応えに。アニメーション処理されたモンスターの鼓動、とどめを刺すと血飛沫を上げる演出は大きな見所。「本作の魅力、醍醐味は戦闘に有り」と言っても過言ではないです。なお、仲間には主人公に対する「忠誠心」なる隠しパラメータも存在するらしく、この忠誠心が戦闘時に影響を及ぼすロジックも…表も裏も侮れないRPGが、邪聖剣ネクロマンサー。

戦闘画面。躍動感溢れる個性的なモンスター。

独特な雰囲気と秀逸なテキストの魅力

 冒頭でも触れた通り、透明感溢れるグラフィックに目を奪われ、上質なサウンドを聞き入ってしまう…街やフィールド、通常戦、ボス戦の曲が特に良くて。魔法もそれぞれ効果音が異なり、この辺の作り込みも好印象。一般的なファンタジーとは異なる独特な雰囲気が素晴らしく、モンスターのオリジナリティ、アイテムや魔法などのネーミングも秀逸。魔法を「魔導書」と呼ぶセンス、好きです。さらに筆者が感心し惚れてるのが、システムテキストへの拘り。例えば戦闘時、剣を装備し攻撃すると「~は斬りかかった!」槍なら「突きかかった!」、回復魔法でも完全回復の場合「全快した」など、状況をより魅力的に伝える言い回しが実に気持ち良い。なかなか見当たらないですよ、システムテキストで「読ませる文章」を感じられるRPGって。

海辺でワイバーンと戦闘。とどめを刺し血飛沫がブシューッ!

贔屓上等で強く奨めたい邪聖剣ネクロマンサー

 良い事ばかりじゃナンですから、ネガティブな面も触れておきます。ゲームの難易度は面白みである反面、RPG慣れしていないとキツイ、苦行と感じる要素でもあります。セーブがパスワード方式で文字種、入力数とも多く面倒なのもマイナスポイント。アイテムなどの名前が独特で、趣は感じるも品種の解りにくさも少々有り。とは言え、手応えある難易度は育成の楽しさと達成感が大きく、パスワードはスマホのカメラ撮影で負担軽減可能。ネーミングセンスだって本作を楽しむ一要素。ネガティブ要素よりも遥かに大きい魅力を持っていると、自分はそう捉えています。本作の市場価格は1000円前後と手頃に入手可能、またPCEngine miniにも収録されておりプレイしやすいのも嬉しい。RPGファン、PCエンジン好きの方々には邪聖剣ネクロマンサーを強く奨めたい。マジで面白いから! 

連続で攻撃が入った時「さらに〜」と繋がる。流麗な表現がステキ!
  • メーカー:ハドソン
  • 発売日:1988年1月30日
  • メディア:Huカード(2Mbit)
  • 雑誌評価:18.18/30.00(ファミマガ) 24/40(ファミ通)

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